2010年5月25日火曜日

Liuteria-BATO/BATO兄弟


大阪城から西にまっすぐ。通りに面したビルの1Fにて工房を構えております。2003年まではマンションの14階だったんです。外から見えない場所で工房やお店をされてる方も多いんです。必要な人にしか関係ない店ですからね。でも、人目に触れることにより興味を持ってもらおうと、作業風景を見ていただくため作業スペースを通り沿いの窓際へ。明るすぎると感じる時も多々あるんですけど、外を見ながら目を休めることもあります。仕事は楽器製作の他に修理・調整・販売。兄弟で作業するなかでアドバイスすること・されることや発見もある。競争してることもあるし、いい刺激を受けあいながら、よきライバルです(笑)。多い日は職人4人編成。万力のついた作業台3台と2人掛けで弓の毛替えや調整などをする作業テーブルがあります。 工房の奥に接客販売スペースがあり隣にはレッスン室を併設。
人の出入りも多く、いろんな音を聞きながら作業をしています(笑)
「それで集中できるのか」って?
一人の世界に入るのは得意です^^b

2010年5月13日木曜日

赤ニス。ドラゴンブラッドの退色。

ニスは樹脂分と色素分に分けられると思います。

ドラゴンブラッドは赤い色素とともに樹脂分でもあります。

ドラゴンブラッドを大量に入れると、赤が鮮明に発色しますが、含まれる樹脂分が柔らかくガラス質の形成に難があるように思います。
さらに、太陽光による退色も顕著で、数年でかなり色が飛んでしまいます。

そこで、アルコールに溶かした状態で少量ずつ火をつけて焼く、という工程をプラスします。

赤の発色は抑えられてしまい、変わりに深みのある血のような色合いがでます。

焼いた場合と焼かない場合では、完成当初の発色は焼かないほうが綺麗ですが、
数年後の色を比べると明らかに焼いたほうが赤い成分が多く残っています。

鮮烈な赤を求める場合にはドラゴンブラッドは適さないでしょう。
落ち着いた赤にしたい場合は焼いたドラゴンブラッドが適していると思います。

2010年5月9日日曜日

ニス、有機化学って難しい。

ニスは基本的に自然に存在する樹脂や染料、顔料などを配合して作ります。
溶媒になるアルコールなどは化学的に生成したものを使いますが、基本的に中世ヨーロッパで入手可能だった簡単なものを使います。

私はリノキシンニスというタイプのニスを使いますが、これがなかなか作るのが難しい。

化学的に最適な配分をしっかり計算して作るのが理想なんでしょうが、有機化学は化学の中でも難しい(めんどくさい?)ジャンルだそうで、専門外の科学者さんに質問しても、簡単には答えをいただけません。自分で勉強するにも、かなり気合が必要です。

簡単にリノキシンニスの作り方を紹介します。(間違いや問題点があったらご指摘願います)

1)生の亜麻仁油を空気にさらし、酸化重合させます。
2)酸化重合した亜麻仁油を、重曹などを溶かしたアルカリ性の水でアルカリ加水分解します。
3)油脂の分解された亜麻仁油の繊維を取り出すため、酸性の強い硝酸などを加え析出します。
4)取り出した繊維を結びつけるためにアルコールに溶かしたコパル樹脂を加えます。
5)アルコールをにごらせてしまう水分を自然乾燥させます。
6)乾燥した亜麻仁油繊維とコパル樹脂の混合したものをアルコールに溶かします。
7)アルコールを揮発させながらニスの濃度を調整して完成。

以上のような工程です。

経験で、うまく作るコツを習得していれば作れることは作れます。

しかし、化学的にしっかりした理屈や配分などを理解するのはなかなか難しいようです。

日本語の文献で細かく技術の根拠に触れた書籍って無いんじゃないですか?
ヴァイオリンに関する今後の研究課題はまだまだありますね。

2010年5月5日水曜日

工房の概略 糟谷弦楽器工房


工房の概略
糟谷弦楽器工房
実際の作業場は6畳程度の洋室を使っています。
自宅マンションの一室が製作工房専用の部屋になっています。
南向きの窓から採光しています。必要に応じ遮光カーテンで光をさえぎり、暗室を作ります。
もともと音楽家の多くすむマンションで、楽器の演奏が許可されています。しかし、大型工作機械などは特別に大家さんに許可を得て使わせていただいております。
工房を作るにあたって、騒音の問題は無視できません。鬼目やすりなどでも意外と大きな音が出ます。事前に許可を得ることはとても大事なことでしょう。
6畳の工房で、2名同時に作業することが可能です。当工房では製作教室も開いておりますが、
余裕をもっての作業が可能なのは2名までです。
部屋の半分はニスや樹脂、材木などの整理棚が場所を占めています。完成した楽器は天井からつるして保管しています。天井の高いイタリアと違い楽器の下はデットスペースになりがちです。そこに材料を保管したり、効率のよい収納を行えば、6畳で十分な製作活動が可能です。
作業中はBGMとしてipodをスピーカーにつなぎ、クラシックを中心にかけています。気分によりスタンダードジャズ、フュージョン系、ときにトランスも流しています。テレビは置かない主義です。
製作教室の生徒さんが入れ替わり訪れてくれるので、作業を継続して行うモチベーションがあがります。私は一人でも黙々と作業ができるタイプの職人ではないようなので、一緒に作業をしてくれる仲間がいることはとても重要なことです。

2010年5月2日日曜日

工房の概略


工房の概略  岩井孝夫

私の工房は大阪/JR高槻駅近くの雑居ビルの2階にあります。部屋は四角形でその1辺は前面ガラスになっています。作業台は壁に向かっています。その壁にはストラディヴァリとウィーンフィルハーモニーオーケストラのポスターが貼ってあります。光は右方向からいっぱい入ってきます。明るすぎる時はロールカーテンで光の調整をおこなっています。作業台には左右にZライトがあり、これでもって光の当たり具合を調整します。工房内には試奏用の楽器が陳列されているので、それがよく見えるように天井にはいっぱい蛍光灯が付いています。つまりバイオリン工房にしては明るすぎます。私が学んだイタリアでは、建物の構造上、また電気エネルギーを節約するため薄暗い場所所で仕事をしている人が多いです。現にそのほうが細かいところはよく見えるように思います。しかし私はもう55歳なので視力の衰えを抑えるためにいつも明るい所で仕事をするようにしています。

 部屋には空調と加湿器があります。が、管理は結構ずさんです。湿度は40~60%温度は18~28度です。この環境の中で週6日、12時から19時まで仕事をしています。仕事中は作業台の前の携帯ラジオを聴いています。ラジオを聴かない時は私の手作りスピーカーでナポリ民謡かオペラのアリア集のCDを聴いています。元気な時はほとんどマリオ・デル・モナコで、ちょっと疲れた時はジュゼッペ・ディ・ステーファノです。

そして気分が一番乗っているときは私がベルカントで歌いながら仕事をしています。

2010年5月1日土曜日

生まれ変わったブログ

岩井です。今までは7人がばらばらに書き込んでいましたが、これからはテーマを決めて、そのことについて1週間に一回順繰りにみんなが書き込んでいきます。日本にも数多くのバイオリン製作者はいます。その中でも私達は大変よく似たスタイルの楽器を作っています。しかしよく見るとそこには小さな違いがいろいろ発見できます。道具、製作工程、完成したバイオリン、それぞれの違いを楽しんでいただければと新しい7人のブログスタイルを始めました。



 バイオリンは普通部屋の中で作ります。どこから光が入るか。どんな高さの机を使っているか。立って仕事をするか座って仕事をするか。一日何時間仕事をするか。などなど色々な諸条件も出来上がるバイオリンに影響を与えていると思います。


第1章ーその① 工房の概略から始めます。


どうぞお楽しみください。